下記は、国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センターのホームページから転写しました。https://www.ncnp.go.jp/cbt/guidance/about
認知行動療法(CBT)とは
認知療法・認知行動療法は、認知に働きかけて気持ちを楽にする精神療法(心理療法)の一種です。認知は、ものの受け取り方や考え方という意味です。ストレスを感じると私たちは悲観的に考えがちになって、問題を解決できないこころの状態に追い込んでいきますが、認知療法では、そうした考え方のバランスを取ってストレスに上手に対応できるこころの状態をつくっていきます。
問題対処の手助け
私たちは、自分が置かれている状況を絶えず主観的に判断し続けています。
これは、通常は適応的に行われているのですが、強いストレスを受けている時やうつ状態に陥っている時など、特別な状況下ではそうした認知に歪みが生じてきます。
その結果、抑うつ感や不安感が強まり、非適応的な行動が強まり、さらに認知の歪みが引き起こされるようになります。 悲観的になりすぎず、かといって楽観的にもなりすぎず、地に足のついた現実的でしなやかな考え方をして、いま現在の問題に対処していけるように手助けします。
認知療法・認知行動療法は、欧米ではうつ病や不安障害(パニック障害、社交不安障害、心的外傷後ストレス障害、強迫性障害など)、不眠症、摂食障害、統合失調症などの多くの精神疾患に効果があることが実証されて広く使われるようになってきました。
思考のバランス
認知行動療法では、自動思考と呼ばれる、気持ちが大きく動揺したりつらくなったりした時に患者の頭に浮かんでいた考えに目を向けて、それがどの程度、現実と食い違っているかを検証し、思考のバランスをとっていきます。
それによって問題解決を助けていくのですが、こうした作業が効果を上げるためには、面接場面はもちろん、ホームワークを用いて日常生活のなかで行うことが不可欠です。
次に、認知療法・認知行動療法の具体的な方法を簡単に紹介します。
そのときに、温かく良好な治療関係を大切にして、力を合わせて現実に目を向けて、考えを切り替えたり問題を解決したりすることが大事だということは言うまでもありません。
認知療法・認知行動療法
- 患者さんを一人の人間として理解し、その人の悩みや問題点、強みや長所を洗い出して治療方針を立て、それを患者さんと共有して力を合わせながら面接を進めていきます。
- 行動的技法を使って生活のリズムをつけていきます。毎日の生活を振り返って無理のない形で、(a)日常的に行う決まった活動、(b)優先的に行う必要のある活動、(c)楽しめる活動ややりがいのある活動を、優先順位をつけて行っていく行動活性化という方法があります。とくに、楽しめる活動ややりがいのある活動を増やしていくことは効果的です。また、一定の身体活動や運動を用いて自信やコントロール感覚を取りもどし、他の人との関わり体験を持てるようにしていったり、問題解決技法を使って症状に影響していると考えられる問題を解決していき、適応力を高めていくようにします。
- 自動思考に焦点をあてて、その根拠と反証を検証することによって認知の偏りを修正します。このときに、書籍やウェブを使うこともできます。
- 治療終結に進みます。
詳細な面接の流れは、厚生労働省ホームページの「こころの健康」( http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/kokoro/ )を参照してください。
また、治療ではありませんが、技法の練習には認知療法活用サイト( ウェブ、モバイルともに http://cbtjp.net )も役に立ちます。
簡易型の認知行動療法
このような定型的な認知療法・認知行動療法の他に、一人の方に使用する人や時間を効率的に少なくしながら効果が得られる簡易型の認知行動療法が開発され、地域や職域の精神保健や福祉、法律や教育の各分野で活用されるようになってきています。
そこで使われる方法としては、(1)当事者や仲間がお互いに支え合うサポートグループ・プログラム、(2)短時間で相談に乗る相談センターや電話相談、(3)認知療法・認知行動療法の原則に準拠した資料に基づく個人のセルフヘルプ、(4)行動活性化(やりがいのある行動や気持ちが楽になる行動を増やす)、(5)運動療法、(6)問題解決技法、(7)コンピュータ支援型認知行動療法などがあります。